イメージの固定化

松平健が演じる『遠山の金さん』がテレビ朝日系で放送されていますが、これがどうも馴染めません。


そうです。『暴れん坊将軍』を思い浮かべてしまうのです。


どこからどう見ても貧乏旗本の3男坊、徳田新之助徳川吉宗)なんですよ。


町奉行の遠山左衛門尉様。今まで色んな人達が演じてきているので、これは世代によって違ってくると思うのですが、私の場合は「金さん」といったら松方弘樹です。逆に松方弘樹と言えば「あっ金さん!」と呼んでしまうくらい。


松平健が金さんをやると聞いたときから「え〜?ていうか、暴れん坊将軍またやってよ」というくらいでして、実は『暴れん坊将軍』ファンだったりした私としてはむしろ否定的だったんです。それでも放送開始から何回か見てみましたが、役に固定された役者のイメージというのはそう簡単には拭い去れず、やはりどうもダメですね。


同じ役をずーっと演じ続けるというのは、役者にとっても厳しいものがあるかと思います。ミスター・スポック役のレナード・ニモイ氏も『宇宙大作戦』が終わった後いつまでも「ミスター・スポック」であり続けなければ(ファンの納得を得られない)ならないことにイラついてか、『I Am Not Spock』とかいう自伝も出したしね。


スタートレック』に出た俳優は、シリーズが終わっても「あのスタートレックのだれそれだ」といわれ続ける訳ですから、それはそれで名誉(たぶん・・・)な事でしょうけども、「今は別の新しいことをやってるんだからスタートレックの事は忘れてくれ!」と叫びたくなることもあるのではないでしょうか。レナード・ニモイ氏もそんな心境だったと。


でも、分かってはいるのですが、ファンとしてはたとえその作品が終わっても、「あの作品のこの役」というイメージはなかなか捨て去るなんてことはできないんです。我々のジャン・リュック・ピカード艦長は、たとえ何十年経ったとしてもいつまでも艦長であり続ける訳ですから。