タモリさんと同趣味

先日、いつも通る片側一車線の道路をいつものように流れが切れたら向こうに渡ろうと、後ろをチラチラ振り返りながら歩いていました。 すると歩行者用信号機が見えてきて、こちら側に若い女性が一人、向こう側には幼稚園の年長さんくらいの孫の手を引いたお婆ちゃんが立っていたので、これを利用して渡ろうと思ったらタイミングよく青になりました。

あ、ラッキー!と思いながらツカツカと早足で近付いて行きます。 すると、横断歩道を渡っていた向こう側にいる二人連れの目の前を、白のバンが赤信号を無視して突っ切って行ったのです。

その瞬間、そのお婆ちゃんは 「赤信号ですよ! ルールは守ってください!!」 と声を張り上げて抗議しましたが、別にスピードを緩めることなく車は走り去ります。 横断歩道を渡りながら幼稚園の子が 「赤信号は止まれでしょう?」 と言うと、お婆ちゃんは 「うん、そうだよ。 本当に危ないねぇ」 と話していたのをすれ違いながら聞きました。

私の趣味の一つに妄想がありますが、以下、それを見た瞬間の私です。

そこまで急いで駆けつけて 「大丈夫ですか?」 と聞き、すかさず道路脇に “たまたま” 落ちていた手のひら大の石を拾い、走っていくその車に向かって思いっきり投げつける。 すると、見事後部の窓にぶち当たりガラスが粉々に砕け散る。 それでも車は止まらない。 しかし、こっちは徒歩なので、それ以上どうしようもなく歯噛みする。 投げた石は道路の真ん中に落ちていて、それは他の車が踏んで跳ねたりすると危ないので、急いで拾いに行って脇にどける。 両車線に止まっていた車の列に向かって、通行を止めたことに対する謝罪のために一礼して立ち去る。

次に自分が同じ目に逢った場合にシーンは移り変わります。

「危ねぇだろうがっ!!」 と怒鳴ると同時に、バンの側面をつま先で思いっきり蹴り上げヘコませる。 すると車が急停車して運転手が降りて来くるが、これ幸いと車をさらにつま先で蹴るわヒザでドアをベコベコにするわ持っていた小銭を使ってガラスというガラスを叩き割るわを道路の真ん中で繰り広げる。 運転手が呆然としているところをそのまま何食わぬ顔して立ち去る。

最初のほうはお婆ちゃんが叫んだ瞬間から始まり、その二人とすれ違うときにはすでにこれら二つの妄想は終わっているのです。 その間 5 秒くらいでしょうか。 こういうような事をいつも考えては、一人で興奮し鼓動を高鳴らせ、しばらくの間は体の心を熱くさせています。

実際にやったら尋常ならざる事態になるので、これらは完全なる頭の中での出来事なわけですが、世の中にはこれらを実際にやるアホもいますから怖いですね。 え? 私のほうも十分怖いって?

こういう妄想ってみんなしないモノなのかな・・・。 よく 「カッとなって」 だとか 「ムシャクシャして」 という犯行理由がありますが、私の場合はそういう瞬間的な妄想で気持ちを消化して昇華させるので、少なくともそういう理由で何かを起こすということは有り得ませんが、精神医学的にはどういった按配なんでしょ。