たかが挨拶されど・・・

いつも利用している郵便局があって、そこにはたいてい午前中に行くのですが、その郵便局の入り口には、「防犯」 の腕章を着けているけども実際、いざとなったらあんまり頼りにならなそうな年配の警備員さんが立っています。 たまにいないこともありますけど。 こういうのって、退職した元警察官の受け皿、とかなんでしょうか。 よく分かりません。

その警備員さんは郵便局に来た人に向かって 「おはようございます」 と挨拶するのですが、見ているとそれを返さない人もいるのです。 こういった分け方は同じ世代として言いたくはないのですが、年配の人はキチンと返しますが、やっぱり若い人ほど返さない傾向にあります。 もちろん、年配の人でもやらない人はやりませんよ。 さっさと自分の用事を済まして、そそくさと出て行くような。

いや、何にも反応がないわけではないんですよ。 挨拶されたら、聞こえるギリギリの声で “ゴニョゴニョと口の中で” 言って、一応会釈はするんです。 本人はもうこれで挨拶は返した気分になっているんですね。 ところが、傍目から見てると 「なんだかなぁ」 とか “私は” 思ってしまうのです。 その警備員への挨拶ぐらいどうでもいいじゃないか、と思う人もいるでしょうけど。

話は変わります。

ま、これはどこでもそうだと思うのですが、挨拶に力を入れている小学校というのがありまして、私の頃もそういった標語を掲げられてもいました。 「元気な声で明るい挨拶」 とかいうヤツです。 ちょっと前ですが、バス停に向かって歩いていたとき、すれ違った小学生の男の子にいきなり 「こんにちは」 と挨拶されたことがあります。 また、会社の出入り口で車に乗って人待ちしていたとき、通りすがりの小学生の男の子が 「こんにちは」 と私に向かって挨拶していきました。 どちらも小学校がすぐ近くにあります。

その時どうしたかって?

もちろん、「ええええっ!?」 と突然のことでビックリして、そうこうしているうちに向こうに行ったので、結局何にも返しませんでしたよこっちは。 ええ。

小学生にそうやって通り過ぎざまに不意打ち的に挨拶されるなんて、まーないものですよ普通は。 特に最近は子供にとって物騒な世の中ですので、そういう風にかかわったりするのはためらったりするものです。 いくら学校で挨拶しようとなってはいても。 ところが、初めてそういう状況で元気に挨拶されたものだから、シャイで見ず知らずの子供に接するのが苦手なのもあって、若造である私はその瞬間対処しきれなかったという訳です。

二人ともその挨拶をしたあとニコニコ笑顔だったのは、よっぽど私のアタフタと慌てている様子が可笑しかったんだろうか。 ひょっとして、子供はそういったことを敏感に感じ取るので、私みたいな大人を見つけて、いきなり挨拶して反応を見て遊ぶという一種の 「挨拶ゲーム」 だったんだろうか。

正直、その瞬間はそういうことを考えてしまいました。 でも、こういう大人の汚れた邪推が子供をダメにするんですよね。 あそこで 「こんにちは」 と挨拶を返さなかったのは悪い大人の見本のようで、私としてはそれは本意ではないので、いま思い出しても恥ずかしい思いでいっぱいです。 あの挨拶をした二人は、どっちも真の良い子です。 私が保証します。 されても困るでしょうけど。