サイレンアンプ SAP-500RBVZ を手に入れた

某オークションにて救急車用のサイレンアンプを購入しました。アンプを自作する以上、いつかは本物をと考えていましたが、今回の品が意外と低額だったので試しに入札したら落札してしまいました。

本当は「ハーモニックサイレンアンプ」が欲しいところなのですが、残念ながらこの度の品はノーマルサイレンです。しかしながら ch1 〜 ch4 までの音声合成音付きでしたので、良いものを安く手に入れられた満足感でいっぱいです。

リモートサイレンなどスイッチ類は、中立点付きトグルスイッチとプッシュスイッチと L アングルを買ってきて作りました。

▼ 自作スイッチ台

スピーカーは秋月通商で買った 16Ω10W のホーンスピーカーを使います。

▼ ホーンスピーカー

ここで注意点が一つ。 そのままスピーカーを繋げると音が大き過ぎて、おそらくスピーカーを壊してしまいます。 50W のアンプを積んでいるわけですから当たり前ですね。そこで、アンプのスピーカー出力線とスピーカーの間に手持ちの 1.8KΩ/1W の抵抗を入れてみました。 これでだいぶ音が小さくなります。

▼ 抵抗を間に入れる

ただし、これでも [弱] ボタンを押さないとご近所に気兼ねするほどの音量ですし、しばらく吹鳴していると抵抗がかなり熱を持ちますので注意が必要です。


というわけで、準備完了! 早速鳴らしてみましょう。 以前、作ったハイメディックの前面警光灯とフロントグリルにある警光灯をも繋いで動作させています。


▼ サイレンアンプSAP-500RBVZを自作LED警光灯と共に


▼ 本体に貼付されている「カプラ端子機能一覧」ラベル


オークション等で手に入れたこの手のモノには説明書など無いことが多く、たまに接続方法が分からないというような方がいらっしゃるようなので、端子ピンの接続方法を書いておきたいと思います。もちろん今回手に入れた SAP-500RBVK の場合ですが、他のアンプでも名称が同じならば対応するはずです。


[8Pカプラ側]

1番ピン [照明電源] = +にすると操作部の照明が点灯
2番ピン [電源起動信号線] = +にするとサイレンアンプ ON
3番ピン [アース線 -] = サイレンアンプの電源ー側
4番ピン [電源線 +] = サイレンアンプの電源+側
5番ピン [リモート線 -] = 電源ー側にするとリモートサイレン吹鳴(継続)
6番ピン [SP 出力 16Ω] = 16Ωスピーカーを繋ぐ場合に使用
7番ピン [SP 出力 8Ω] = 8Ωスピーカーを繋ぐ場合に使用
8番ピン [SP 出力共通] = スピーカーの−側をココに繋ぐ


[10Pカプラ側]

9番ピン [散光式警光灯電源入力] = 9,10ピン間はリレー。ここに電源+側を接続。
10番ピン [散光式警光灯電源出力] = ここに警光灯の+側を接続し、マイナスアース。
11番ピン [インジケーター入力線] = 警光灯の+側に接続すると操作部の「警光灯」ボタン上のLEDが点灯。
12番ピン [空き (アソビ線)]
13番ピン [1ch 音声連動線] = 電源+にすると発声開始。
14番ピン [2ch 音声連動線] = 電源+にすると発声開始。
15番ピン [3ch 音声連動線] = 電源+にすると発声開始。
16番ピン [4ch 音声連動線] = 電源+にすると発声開始。
17番ピン [ - ]
18番ピン [ - ]


分かり易く以下のような図にまとめてみました。

▼ サイレンアンプ SAP-500RBVZ 接続図




さて、実物を手に入れたら真っ先にしたかった事は鳴らす事などではなく、分解です!

▼ 上ブタ(端子機能一覧ラベルが貼ってあるほう)を開けたところ

メイン基板は 2 枚に分かれており、こちらはデジタル基板にとなっています。

▼ むむむ! 謎のディップスイッチが!!


何やら 8 ビットのディップスイッチがあり、「ひょっとして! これでハーモニックとかフェードイン・アウト機能がオンになったりして!!?」 とか期待しましたが、リモートサイレンの立ち上がり・下がり周波数の設定みたいです。いじったら「ウ〜」音が消防車やパトカーみたいな音に変化しました。

残念!

▼ デジタル基板・表側

▼ デジタル基板・音声 ROM

デジタル基板の上にはこのように音声 ROM 基板が載っていました。 M27C1001-12F1 という 1Mbit の EPROM です。これに「右に曲がります・・・」などの音声合成データが収録されているわけですね。 隣のは OKI M6650 というシンセサイザー LSI です。

▼ デジタル基板・CPU 部

メイン CPU の日立製 H8/3334 です。 16Mhz 駆動。 私が普段趣味で使っている PIC は 8 ビットマイコンですが、これは 16 ビット。 果たして 16 ビットなんて私なんかが触る日は来るんでしょうか(たぶんない)。 ラベル上の手書きの「2.3」というのはバージョンの事でしょうか。

▼ 操作基板

操作ボタンが塞がれている場所([警光燈] の下と [音声 ch1] の下の部分)にはタクトスイッチはありませんが、LED 自体は取り付けてあります。

▼ 操作基板・LED

ちなみにそのスイッチ部を針金で短絡してみたところ、どちらとも「ピッ」と操作音がして、 [警光燈] の下は反応なし、[音声 ch1] の下の箇所は ch2 の音声合成音「バックします ご注意ください」が流れました。 ボタンとしては無いですが、機能としては生きているようです。


さて、今度はアナログ基板のほうを見てみましょう。

▼ 下ブタ(型式のラベルが貼ってあるほう)を開けたところ

▼ アナログ基板・表側

最初開けてみた感想は「デジタルサイレンアンプと言う割には意外とアナログ部が多いな」というものでした。 左側に電圧レギュレタ IC 7805 があったのが微笑ましかったです。

上側中央にあるのは 16Ω または 8Ω スピーカーのためのインピーダンス・マッチングトランスでしょう。 その左側にある黒い四角いのが警光灯用のリレーで、デジタル基板とのインターフェイスは真ん中の灰色のコネクターで繋がるようになっています。


最後に隠しモードの解説をして終わります。

前面の型式のある部分はツメでパカッとフタが外れるようになっており、そこにディップスイッチが隠してあります。一説によるとパトライト社による遊び心とも言われているようで、これをいじるとリモートサイレン音がアメパトのようなイエルプ音とホーン音になります。

▼ 隠しディップスイッチ

4bit ディップスイッチの設定一覧は以下の通り(本体と同じく右端が LSB)。

0000 = イエルプ(長)
0001 = 〃
0010 = 〃
0011 = 〃
0100 = ノーマル
0101 = 〃
0110 = 〃
0111 = 〃(デフォルト設定値)
1000 = ホーン
1001 = 〃
1010 = 〃
1011 = 〃
1100 = イエルプ(短)
1101 = 〃
1110 = 〃
1111 = 〃




参考までに以前自作したハーモニックサイレンアンプと音を聴き比べるのも一興かと。

▼ 自作したハーモニックサイレンアンプ Mark-II


やっぱ本物のハーモニックサイレンアンプが欲しい!!